« 隠しコマンド。 | トップページ | やっと第2次の会計報告。 そして3次。 »

2011年10月11日 (火)

夜空に散るXSI男。

「パーティキュラー花火大会」というCGコンテストのようなイベントがありましてね。

ちょっとやってみたくなって、応募したんですよ。

そしたら、1等賞もらっちゃいました (゚∀゚;)





パーティキュラー花火大会2011 応募作品 : We pray for Fukushima






ううむ、Youtube も Vimeo も画質は変わらないくらい悪いな。 両方とも全く同じ動画です。

今回の場合は絵の性質上、階調とか大事なので、できれば高画質で見てもらいたいと思うんですが、まあそんなこと思っているのは作った本人だけで、見る側はどーでもいいですよねえ。 ええ、わかってますよ。

Vimeo の方は動画の右下あたりに Download this video というリンクがあり、たぶん1週間くらいはオリジナルの QuickTime ムービーがダウンロードできます。もしかしたら Vimeo の会員登録が必要かも知れません。 そのムービーすら mp4 ですので圧縮による画質劣化はあるのですが、ストリーミングされる動画より断然画質が良いので、興味のあるお方はそちらをダウンロードしてお手持ちの QuickTimeプレーヤなどで見て頂けると嬉しいです。 XSI男が夜空に散ります。パァっ、と。







このコンテストは、もともとは AfterEffects のプラグインである Trapcode Particular を使ったバーチャル花火映像のコンテストという趣旨だったように見えますが、作品の募集要綱を読むとパーティキュラーを使わなくとも良い、使用ソフトウェアは何でも良い、という意味のことが書かれていたんですね。 じゃあ、XSI で作ってもいいってことでしょ。 花火映像なら、ICE の勉強にちょうど良さそうじゃないか。 って思いますよね。普通。



折りしも進行中のプロジェクトが終わりに近づいていた時期だったので、数日後からは本腰入れて作れるなと思い、急遽実験を始めました。 いや、実験とも言えないくらいの、ひとりブレストとでも言うか、アイデア出しとでもいうか。

で、その勢いのまま、完成まで、びっくりするくらいただの思いつきと言うか、完全に行き当たりばったりで作り進めましてね。 脚本無し。 コンテ無し。 構想無し。 あるのは時間と妄想だけでした。

でもその妄想ですら、行き当たりばったりで頭に浮かぶものに従ったというだけです。その場その場で無作為に頭に浮かぶ妄想のカケラを、自力で ICE に落とし込める程度まで劣化させて、なんとなく動いているベアな素材を2つか3つくらい作り、ショットの順番も何も決まらないまま AfterEffects のタイムラインにぶち込みます。

それをなんとなく RAM プレビューで眺めているうちに、「ああ、なんか音楽があるといいんじゃねえの」 とか、「変にウケを狙うより綺麗系で行く方がこの短い時間でまとまりそうだぞ」 とか、「ボケだよなやっぱり。暗い背景に光球だから、Bokeh だけで引っ張れる気がする」とか、頭の中に囁きが聞こえてくるので、素直にそれに従います。 でも尺もカット割りも何も決めません。そもそもどういう花火が出てくるかとか、どんな順番でどう見せるとか、なんにも決めません。これらが最終的に決まったのは、最後の2日間くらいだったでしょうかね。 白状しますが、主役のように見える XSI男花火ですら、出そうと決めたのはたぶん締め切りの2日前くらいです。 しかも数時間のテストで上手く行かなかったら、綺麗さっぱり忘れて、もっと別の、作りやすい花火にしていたことでしょう。



こんな感じで実にいい加減に作業を進め、プロダクション期間としては1週間弱で作りました。最後の2日間くらいは徹夜に近い状態になりましたが。

プリプロと言えないくらいの上記の実験は、ファイルのタイムスタンプを見ると9月22日とかになってますね。締め切りの11日前くらいか。 で、カットらしきものを作り始めたのが9月27日のようです。締め切りの6日前。その時やっていたプロジェクトを納品した直後です。プリプロはほんのちょっとだけなので、実質はこの6日間だか7日間だかで詰め込んでやってますね。それくらい無計画だったということです。






音楽は Apple の Garage Band を使って自作しました。このソフトウェア、すごいですよねえ。 前にも1回使ったことがあって、やはり急ぎで音楽が必要だったんですが、初めて使うというのに5時間だか6時間だかでなんとなく音楽が出来てしまうんですね。

しかもやってることはドラッグ&ドロップだけですよ。既存の音楽フレーズのパーツを並べるだけ。しかも楽器やムードを検索ワードのように入れるとそれっぽいプリセットが出てくるので、素直にそれに従って選ぶだけです。「ピアノ」 「しっとり」 とか。

こうして約30分で音楽ができました。30分ですよ。ほんとですってば。 まあ、DTM に凝っている人とかプロの人が聴いたら音楽とも言えないくらいのちゃんちゃらおかしいモノでしょうが、俺には十分です。 たった30分で出来る、という言い方もできるけど、正直に言えば、時間をかける気がしないので30分でやめたけど十分満足した、という感じでしょうかね。 ピアノ2トラック、パーカッション1トラック。 十分です。

Garage Band から書き出した音楽ファイルのスタンプを見ると、9月27日の 21:45 になっています。締め切りまで5日とちょっとです。 でも音楽さえできてしまえば大丈夫! 俺にとってはこのBGMがコンテのようでもあり、タイムシートのようでもあります。 もともと花火らしき要素を次々に脈略無く出して行くくらいしかやるつもりがなかったので、骨子になる音楽が出来ちまえばあとは音に合わせてそれらしくデッチ上げるのみです。 小節の切れ目がショットの切れ目になり、拍のタイミングがエミッションタイミングになり、音楽の尺が作品の尺になります。もともと大会規定で10秒から1分前後くらいの尺にせよとあるので、そしてスローテンポな曲にしているので、そんなに多くの音楽パーツは必要ありません。 こうしてデッチ上げた曲が、本当に作品の背骨になりました。 これ以降は曲に素直に従うだけなので、あまり迷わない。楽ちんです。




残り3日を切ったくらいから、やべえ、これは本格的に間に合わねえぞ、と思い始めて、すごくドキドキしましたね。 レンダ時間と自分の体力も考慮に入れねばなりません。なんせマシンは1台しか持っていません。作業マシンがイコールレンダリングマシンです。そのためメシを食う、寝るなどのタイミングに正確にレンダをぶつける必要がありました。また、体力を計算して、今寝ないで夜まで作業するのは絶対無理だから、ならあと30分だけ頑張ってあのショットのレンダを仕込んでから寝よう。2時間半寝れば復活するはずだ。たとえレンダの方が早く終わることが予想されても、無理して早く起きようとはしない。それをやると最後の12時間を走れなくなる。落ち着け。大丈夫だ。 とかなんとか。

最後2日間はこんな状況ですから、妄想はどんどん劣化させましたよ。 ほんとはこんな感じの絵が頭に浮かんだけど、マトモに作っていると間に合わないからこの要素だけ拾ってしまえ~、レンダも分けなくていいぜ~、ほんとは AE で StarGlow かます時に元の色ごとに別レイヤになってた方がいじりやすいけど気にしないぜ~、AE上でどんどんキーフレーム打ってショット内でもその時その時に都合のいい状態を作り出すぜ~、後戻りしねえぜ~ とか。ものすごい勢いで妥協します。

半分以上のショットはテイク1だと思います。 つまり一度も修正を入れていない。 最初にレンダした素材のままゴリ押しです。 アンチエイリアスがどうしたとか、ボケのデプス素材で Transparency を考慮に入れてないから汚いエッジになったとか、そういう技術的なチョンボも鬼のようにしてますよ。でも気にしない。 AE のエフェクトでごまかしたり、目線がなるべく画面の中心部分以外に行かないように仕向けたり。 ごまかしてすらいない場所もいっぱいあります。つまり問題が露呈しているのにそのまま放置。 いいんです。 そんなの、俺以外の人は気にしないんだから。


こうして妥協しまくって作りましたが、俺は大丈夫です。 世の中には妥協=死という人もいるそうですが、俺は幸い、映像に妥協するくらいで死ぬこともなければ、妥協したことを死ぬまで後悔し続けることもない程度には強い精神を持っています。 実は妥協したとか、ほんとは直すべきだと自分でわかっていながら直さなかった仕事なんて、正直に言いますが俺はそんなんばっかりですよ。金もらってやっている仕事すら、妥協のオンパレードです。 っていうか金もらっている仕事の方が妥協が多いかもしれませんね。 開き直ってすいません。 でもこれは俺にとっては揺るぎない真実、ごまかしようのない事実なので、こんな風に広言するような話ではないしそれどころか妥協を一切しないことを広言する人よりよっぽどイタい野郎に見えるかもしれませんが、今回たまたま1位を頂いた行きがかり上、事実は事実のまま白状しておくしかないという心境なんですよね、今は。 すいません、どうでもいいか。





こうしてなんとかデッチ上げ、締め切りである10月3日の朝8時くらいに提出しました。 3日の23時59分が締め切りだったので、あと16時間くらいあったのですが、そこでやめてしまうあたりが俺らしいですね。 提出の手間を差し引いても、12~13時間はあったはずです。そんだけ時間があれば2~3ショットをレンダリングし直したり、なんなら妥協して作成を中止したショットを復活させることもできたと思うんですが、ここ2日くらいはあんまり寝てないし、当初思っていたよりはゴージャスな感じになったのでまあいいや~ 寝よう~ ということにしたのです。 朝の8時から吞むビールは美味かった。


ちなみに花火パーティクルの動きは ICE で作っていますが、あと色の変化や大きさの変化なども ICE によるものですが、色や質感は AE 上でヘビーにいじっています。っていうかそれ前提。 XSI から美しい光モノをまんまレンダできるとは思えない。 Trapcode StarGlow 様と、frischluft Lenscare 様のお力を大いに借りています。







大会当日は長野県の山の中の屋外で星を見ながら酒を呑んでいたので、花火大会の Ustream中継は見れませんでした。 でも携帯の電波が届いたので、スマホではない普通の携帯でツイッターを見てみたのですが、やっぱ携帯で途切れ途切れに見ているだけでは状況がよくわからず。 しかし近しい人が俺に「優勝おめでとう」とか言ってくるのを断続的に見てアセりました。その後、少しまとめて情報を見て、1等賞を頂いたということを理解しました。2日後に帰宅してみると、主催者の方からその旨メールが来ていたので、真実だと確認しました。




1位の賞品は、
Mac Book Air の 11インチだそうで
(゚∀゚;)
すげえ (゚∀゚;)
超ありがとうございます (゚∀゚;)
そんないいものをもらえる賞をもらえたのが光栄です (゚∀゚;)






しかしですね。。。。。





俺、9月初旬に、Mac Book Air の 13インチを買ったばかりなのですよ。
しかもメモリはフル搭載の 4GB。
SSD もフル搭載の 256GB。
CPU もフルスペックな i7

キーボードは自分の好みで US。


というわけで、すでに最大スペック状態の MBA を持っているのですよ。。。 今回頂けることになった MBA の方が勝っている点は唯一、小さい/軽いことだけか。

むむむ。2台持っていても使い分けしようがなさそうだしなあ。

ぶっちゃけ、Form とか Optical Flares が欲しかったなあ (・∀・)







さて、あとは技術的な話を書くかどうか。
せっかく賞もらったし、書きたいんだよな。
賞もらったから書くモチベーションが続くとでも言うか。


そういえば長らく賞とか、そういうものに縁が無かったなあ。
昔から俺、仕事でも趣味でもスポーツでも、栄冠に輝くことはほとんど無かったんですよね。栄冠とか栄誉とか、憧れはあるんですが、実力云々もそうだけど俺の場合生き方が下手糞で、自らの身をそういうものから遠ざけてしまう嫌いがあると思っています。だから今回は素直に嬉しいですよ。わーー賞とか、久しぶりにもらっちまったなあ! という感じ。  知り合いのCG屋の中にはもっと大きな(世間の認知度が大きいという意味)栄冠を手にしている人がいっぱいいるんですが、うらやましいねたましいといつも思っています。 でも今回だけは俺も、それに比べれば非常に小さい栄冠かも知れませんけどね、こういう栄誉を賜ることができて幸せですよ。上で書いたように超行き当たりばったりで作ったのが申し訳ない気がするくらいです。



投票してくれた方々、超ありがとうございました。 スタッフの方々も、大変な運営だったでしょうに、超お疲れ様でした。 ありがとうございました (゚∀゚)







.

|

« 隠しコマンド。 | トップページ | やっと第2次の会計報告。 そして3次。 »

コメント

おめでとう御座います (゚∀゚)

投稿: | 2011年10月11日 (火) 22時27分

おめでとうございます。さすがプロですね!
XSI男が花火から出てきたシーンは吹きましたw

個人的には最初の打ち上がっていくシーンが好みです
ともかく優勝おめでとうございます!

投稿: | 2011年10月11日 (火) 23時56分

わー。すげーいいですね~。
感動しますた!
おめでとうございます!

投稿: garu | 2011年10月12日 (水) 01時12分

優勝おめでとうございます~っ!

MP4でしかと拝見させて頂きました。
ICE花火職人の称号が付きましたね!

いや~仕事の合間を縫って個人作品制作とか本当凄いですよ。
しかも限られた期限内に。
グッジョブですw

投稿: MY803 | 2011年10月12日 (水) 01時24分

わぁ~ みなさんありがとうございます~ ヽ(゚∀゚;)ノ

仕事の合間を縫ってじゃなくて、仕事が途切れちゃって時間ができただけですけどね! orz

投稿: junki | 2011年10月12日 (水) 09時10分

1等賞,おめでとうございます!
僕も最近、ICEが使いたくXSIを触り始めました。

XSIのUIはMayaやMaxみたくダークカラーに設定できないのでしょうか?

投稿: ryu | 2011年10月20日 (木) 12時55分

ryuさん、ビューポートの背景色などは Preference > Scene Colors から変えられますし、過去に背景色を簡単に変えることができるプラグインも作ったことがありますが、UI 全体の色は変えられないです。

Maya様やMax様と同じことが、XSIのごとき下僕野郎に許されるわけがないじゃないですか。 あきらめて下さい。 我々はそういう生まれなのです。そういう血筋なのです。 血筋は自分では選べません。 あきらめるしかありません。

投稿: junki | 2011年10月21日 (金) 10時05分

junkiさま
やはり諦めるしかないですよね・・・
一応、僕も調べたんですけど結局見つかりませんでした。
でもICEは面白そうです!
頑張ります。

投稿: ryu | 2011年10月21日 (金) 16時42分

ryu さま、御無沙汰でした!! (゚∀゚)
俺ごときを覚えておいてくれて嬉しい
今後もよろしくどうぞ!! (゚∀゚)

投稿: junki | 2011年10月24日 (月) 01時54分

久しぶりにお会いでき、光栄です!
blog楽しく拝見しているので更新お願いしますね!

投稿: ryu | 2011年10月24日 (月) 12時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 夜空に散るXSI男。:

« 隠しコマンド。 | トップページ | やっと第2次の会計報告。 そして3次。 »