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2011年7月 9日 (土)

立って XSI。

先日、有田さんの家に遊びに行って来たんですよ。


有田さんと言うと、あの有田満弘さんです。 絵描きの有田さんです。 イラストレータの有田さんです。CG屋さんではありません。 XSI を画材の一部として使うこともあるという、イラストレータさんです。 


数年前に XSI Base 上でお互いの存在を認知し合い、閣下がお怒りになったのをきっかけにつながり、それ以来の付き合いです。歳も近い。色々面白い人ですが、なかなか会う機会が少なく、大勢の呑み会などではじっくり語ることもできず、歯がゆいものを感じていました。なので、サシで吞みながらじっくり話がしたいと前から思っていたんですよ。

彼の家は埼玉県にあるんですがね、俺の家は東京都ですが埼玉寄りでして、新宿や渋谷などの都会に行くより有田さんの家に行く方が近いくらいです。距離は25~26キロかな。 



ってことで、チャリで行って来ました。
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国道16号~407号をひたすら走る。
ゼロ段変速のマイチャリ。
ママチャリではないか、でもまあ、普通の街チャリ。
スポーティなチャリではないけど、25キロくらい走るのはまあ、大したことないですね。

ただ、梅雨の合間の晴れた日で、暑いのなんのって。

1時間半くらいで着くかなーと思っていたんですが、道が予想以上にアップダウンしており、途中10分の休憩を1回入れて合計2時間くらいかかってしまいました。



着いたら車で近所の温泉まで連れてってもらって、有田さんとお湯につかりながらCGや絵の話を語らいました。俺も有田さんもけっこうお喋りな男なので、話は尽きません。 前から聞きたかったことや、聞かせたいこと、自慢したいことなど、いっぱいあるんです。男二人、明るい時間から風呂に入りながら、よくもまあこんなに喋るなあというくらい喋ってました。長湯しました。



その後は有田邸に移動し、吞みながらまたひたすらしゃべくってましたね。 


有田さんの仕事場。
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ステキ (*゚∀゚)=3

PCやら周辺機器やら人体人形やら、男の子なら燃えるゴチャゴチャしたものがたくさんあって、資料本やらなんやら書籍がやたらたくさんあって、横に長~い、おそらくは2m以上もある、奥行きは1mもある広~い作業机で、アーロンチェアにアーユルチェアがあり、Bose のスピーカがあり、床ではルンバがお掃除している。 こりゃもう、燃えるわけです。 いいなあこの職場。




絵の話、CGの話、XSI の話、グラボがどうしたとかドライバがどうしたとかそういうPCな話、椅子や机などの話、仕事に対する姿勢の話、ヒストリーオブ有田、色んな話をして実に楽しかった。 エロ話はなかったですね。そうか、最近猥談しなくなったなあ。歳食ったなあ。

すごく面白かったんですが、彼は  「自分は絵描きというこの仕事を、自分の頭の中に浮かんだ絵を紙や画像に出力したいというだけの動機でやっている。 その絵さえ出力できればそれ以外はどうでもいい。 その意味では、作る過程や手法もどうでもいいとすら言える。 CGを使おうがペンで紙に描こうが、その絵さえ出てくればいいんだ。 頭の中にある絵を自動で出力してくれるマシーンがあるならそれを買いたい。 手を動かすことはどうでもいいんだ。自分の手を動かして絵を出力する過程は、めんどくさいとすら思っている」  という意味のことを言ってました。

なるほどなあ。 根っからのアーティストってやつですかね。 「手法はどうでもいい。 3DCGとか XSI とかタブレットとか別に興味ない。 俺様のイメージを具現化できるツールをただ使っているだけだし、ほんとはそれすら自動でやって欲しい。俺様はイメージを作ることだけに専念したいんだ」 という意味になりますね。 へえ、面白い面白い。


俺なんかとは全く正反対ですね。 俺は自分で手を動かして出力していく過程こそが自分の仕事だと思っていて、そこをマシーンにやらせるわけにはいかないわけですよ。 

俺はアーティストではないし、作家ではないし、むしろエンジニアもしくは左官職人のような存在だと思っています。 目標とするイメージを作ることが俺の役割なのではなく(そういう場合もなくはないが)、 そのイメージに到達するための手法の開発・提供が主な役割です。 そして、到達までの実際の労働に従事している作業者なわけです。その過程こそが楽しいとか面白いとか思っている。 そもそも、「わーCGってなんか楽しそうだなー」って思ってこの仕事を始めたわけですよ俺は。 つまりCGという「手法」に魅力を感じてこの業界に入った男です。 有田さんは正反対。 手法なんてどうだっていい。 大事なのは出力すべきイメージだ、というタイプなわけです。


いやー、面白かったなあ。

24時半くらいまで語らい、俺が酔いつぶれて終了。 泊めて頂きました。



翌日も午前中から語らい、そのまま夜まで語らう勢いがあったのですが、さすがにあまりにも長居して迷惑をかけるわけにも行かず、13時半くらいには辞去しました。 いやあ楽しかった。 有田さんありがとう。










で、面白かったのがこれです。
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立って XSI (;゚∀゚)



この人、ワコムの液タブを愛用しているのですが、座ってではなく、立って作業するんですよ。XSI に限らず何でもね。  作業机の上に自作の液タブスタンド(兼キーボード置き)を置いて液タブの高さをかせぎ、直立して絵描いてます。





俺も試しにやらせてもらいました。
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いやあ、ペンを持つ右腕が1分もしないうちに疲れる。無理です。無理無理。





これって、やっぱり有田さんは絵描きだから、CGやる時でもイーゼル立てた状態を模して絵を描きたいってことなのかな? と聞いてみたら、



   「 いや全然。 体を鍛えるため 」



だそうです。

 ・・・・・・。 (; ゚д゚)






俺ならば、体を鍛えたい時は、ジョギングや筋トレをします。
有田さんは、体を鍛えるために立って XSI や Painter をいじるそうです。

意味分かりません。
やっぱり変な人です。
知ってたけど。



せっかくなのでこの変な人をもう少し掘り下げます。

ポケモンカードの絵を、第1弾の頃から描いています。
http://www.pokemon-card.com/
っていうか、このポケモンカード第1弾が、絵描きとしての初めての仕事だそうで。
絵作りに XSI もけっこう使われています。今となっては XSI率はかなり高いのでは? 前に絵を見せてもらった時は、全体をXSIからレンダリングしてレタッチしていくという風に見えたんだけど、どうなんだろな。



仮面ライダーカード 「カンバライド」 のキービジュアルもこの人の仕事です。
http://www.ganbaride.com/
こちらもけっこう XSI が登場する。

生の絵を見せてもらったんですが、手描きの絵をスキャンし、ライダーのマスクやメカっぽい部分などだけ XSI で作ってレンダリングし、手で描いた部分と混ぜこぜにして1枚の絵に仕立てます。 部分ごとに CG と手描きが混ざり、CGの部分には当然レタッチでガンガン手を入れるし、手描きの中でも部分ごとにタッチがかなり変わったりして、かなりのチャンプルーっぷりです。

このインタビュー記事で、制作途中の絵がチラッと見れます。
http://www.ganbaride.com/interview/interview_arita.html

彼曰く、ライダーのマスクや特に複眼の目などで、いかにも3DCGというパッキリした「CGくささ」が欲しいそうで、メンタル霊でいわばシャープでソリッドでハードでメカニカルでテクニカルな絵になるようにレンダリングするそうです。 だから最近流行の、フォトリアルが簡単にできまっせ系グローバルイルミネーションレンダラーやライトシミュレータみたいなのだけになってしまうと困るそうで、メンタル霊のような、シャープなレイトレースシャドウやウソ臭いリフレクションができるレンダラを支持しているそうです。なるほどなあ。



ワコムのヘビーユーザでもあります。


ワコムのペンタブの設定ファイルをバックアップしたり復元したりする 「タブレット設定ファイルユーティリティ」 は、有田さんの要望でワコムに作らせたそうですよ。 昔はよく設定ファイルが破損したりして、手でバックアップ取ったり復元していたんだそうで。


最近はフクロウさんの絵を多く描いています。
http://www.mediafactory.co.jp/gahoole/
日本語版ガフールの表紙と挿絵ですね。
これに関してすんげえ面白いエピソードというか苦労話を聞きました。ははは、面白かった。

この人は絵を描くなら対象をよく知らないといかんというポリシーがあり、色々調べてフクロウも詳しくなったようですよ。ガフールに出てくるフクロウは北米などにいるフクロウで、日本のとは違うから、資料を探すのが少し大変だったとかなんだとか、言ってましたね。


こんな絵も描きます
http://www.playonline.com/pcd/topics/ff11/detail/4016/detail.html
もともとは、ファイナルファンタジーXの、WEB上の絵を担当したんだっけ?



この本も有名です。
http://amzn.to/pkvuyA
有田さんのイラストレータとしての名声を押し上げた1冊という話でしたかね? この本の甲冑のイラストは定評があり、その筋の人たちの間ではバイブル的な存在になっているようです。 

実際、チェインメイル=鎖帷子(くさりかたびら)のリングの大きさが階級によって違っただとかなんだとか、そうとう深く研究して絵を描いたそうですよ。 これが有田スタイルですかね。 俺の敬愛する吉村昭にちょっと似ているかも知れない。

「知らないと描けない」ってのは、はい、俺にも感覚としては分かります 3Dでモデリングしててもそうですよね。 これ、形はまあ分かったけど、何のためにここに付いてるの、とか、裏は見えないから作らなくてもいいけど、裏の構造も分からないと作りにくいなあ、とか、よくあるじゃないですか。 誤魔化そうにも、ブツを知らないと誤魔化し方もわからないというか、的を外した誤魔化し方になってしまって、絵の説得力が格段に落ちますよね。 よく 「この絵で見えるところだけモデリングすればいいから。 それ以外はどうでもいいから」 というオーダーを受けますし、俺がそういう風にオーダーしてしまうこともあります。 ほんとはいかんのですね。 すいません。




ちゅうか、ここに有田公式ページがありますね。
http://homepage3.nifty.com/mitsuhiroarita/
この人について全部載ってます。右上に GRAPHIX とか MOBILE PAINTING とかリンクが並んでいるので、片っ端から見てみましょう。面白いです。

甲冑の絵がかっこいいよなあ。モデリング欲をそそる。











さて、有田邸を辞去したわけですが、昼飯を食っていなかったので一緒に食いに行こうという話になり、有田さんおすすめのラーメン屋に行きました。
http://shingen.sengoku-jidai.com/
ここなんですがね。

「つけ麺勘助」という名前の品物を頼んだのですが、こんなのが出て来ました。
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これで一人前ですよ。右が麺、左がつけ汁です。

麺の器とつけ汁の器の直径が同じつけ麺は初めてです。




このつけ汁、暴力的な野菜炒めが乗っかっているんですよ
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ラーメン二郎の野菜盛りを想像するとよろしい。
でも二郎のは、ラーメンの上に野菜が乗っているじゃないですか。
この写真は、この野菜の下にラーメンはありませんからね。つけ麺のつけ汁ですから。

モヤシ、キャベツ、肉、その他 + チリパウダー。 このチリパウダーが実に効いている。
いやーーー 美味かった。

美味かったんだけど、あまりにも腹いっぱいになりすぎて、帰路がきつかったですね。チャリンコ2時間ですから。









この有田邸訪問は6月の中旬でしたが、実はつい先日、もう1回有田さんちに行きました。今度は車で。

俺が、もうちっとマトモなPC机が欲しいなーとか言っていたら、有田さんが昔使ってたやつを譲ってくれると言うのです。それを取りに行って来ました。 そのときにまた有田さんとこのラーメン屋に行って、今度は夏限定の冷やしラーメンを食って来ましたが、こちらも美味かったです。 うん、もう、これからは、この方面に来たら必ずこのラーメン屋に寄ることにしよう。




で、机をもらってきました。
Img_0041

パインかスプルースか、何かの木の集成材で出来た机です。天板も脚も同じ集成材。 うむ、良い感じだ。 サイズもちょうどいい。 実に使える。 いいものをもらってしまった。

かなり傷も汚れもカビもある、年季の入った机です。
有田さん曰く 

  「駆け出しの頃、メシもろくに食えないくらい貧乏だった時代に買ったものなので、今ではもう使っていないが、どうしても捨てられずに保管していた。 活用の道が見つかってよかった」
 


だそうです。 



うむ。

心に浸みるじゃねえかこの野郎。



メシすら食えずに苦しい思いや悔しい思いもいっぱいしたことでしょう。そんな有田さんの血や汗や涙やヨダレや鼻水などが、十数年分浸み込んだ机をもらってしまったわけですね。 これで俺も、いずれ処分することもできなくなっちまった。

大事に大事に使うことにします。




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