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2009年11月26日 (木)

2012。

2012 観てきましたよ。

なんというか、やはり、すごい。
映像が。

映像が、ですよ。
映画が、ではありません。




さーネタバレ行きますよ。まだ観てない人は読まないで下さい。

観た後は、、是非感想というか、反論をして下さい。俺の映画の見方は偏ってると思うし、ボケっと見てて大事な要素を見逃すこともあるので、是非正して欲しいのです。


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箱舟に分かれて乗船している各国首脳のみなさんは、たった一人の科学者の正義感だか人間愛だかに簡単に動かされて、世界規模で何年もかけて準備したプロジェクトをやすやすと変更してしまうんですよね。このご都合主義。いや、こんなご都合主義は色んな映画でいっぱい出てくるから特筆することのほどではないけど、だからと言って安易に使ってよいパターンではない。実に安くさくなっちゃってますよね。



最後に科学者さんの熱い思いが他の舟にいる各国首脳に伝わったのは、臆病な通信オペレータのおかげですか? 本来の上司に制止されたにも関わらず、科学者にどやされて通信を始めちゃったあの臆病オペレータがいなかったら、科学者さんの演説は各国首脳に伝わらなかったわけですからね。彼が義憤に燃えていたようには見えず、どやされて思わずスイッチ入れちゃった、って感じでしたよ。 このオペレータさんが普通に真面目な人(職務権限を普通に遵守する人)だったら、外のみんなを船に乗せるとう大決断は下されなかったのでしょうねえ。ラストの大決断につなげるプロットとしては、あまりにも情けないですよね。

そうやって船に乗せてもらえた皆さんも、結局は政府側が選んだ人、金を積んだ人など、エラい人たちにとって都合の良い、ごく一部の人なわけですね。そんな奴らを救えと義憤に燃えて言い出す科学者さんの偽善者ぶりを映画最大のヤマ場に持ってきてるあたりが、どうにもアレですわね。



あのチベット人の坊さん?の一家?の扱いがちゃんと描写されてなかったような気がするんですが。船のスタッフ側である長男?がゲートを開けてくれたから主人公一家は船に乗ることができたわけですよね。重要な分岐点です。そしてそのゲートを開ける兄貴は、自分の母親に「みんな地球の子供だ! 乗せてやれ」って言われたことが、ゲートを開ける動機になったわけですよね。強い母、愛のある母という印象を残そうとしたように思えるけど、でもそもそもこの一家、スタッフである長男が裏口から入れてくれることをアテにして、村の人は全部置き去りに、自分たちだけ助かろうと思って船に来たんですよね? 愛もクソもねえって感じがするんですが。

だいいち、こんな簡単に裏口から入れる程度のセキュリティなんですか箱舟は。



主人公の元奥さんの新しい恋人はなぜ死んだんでしょう。現時点で奥さんの愛情を勝ち得ているので主人公に対しては優越感があるだろうし、でも血のつながった家族ではないため常に疎外感も感じている。この両方の感情を持ち合わせた、実に描きがいのあるキャラクタなのに、全く不必要に死んじゃったように見えましたよ。意味不明。 

それに恋人が死んだってのに元奥さんはケロっとしてるよ。 さらに、彼をあれだけ慕っていた主人公の息子も特に悲嘆に暮れているわけでもなさそう。なんだかねえ。



ロシア人飛行機パイロットはなぜ死んだのでしょう。逃げずに最後まで飛行機を安全に着陸させる!って宣言したその動機がわからねえ。ヒロイックな行動をとらせて観客を感動させようとしたとしか思えねえ。その目論見は超失敗してますよ。

その後崖に落ちそうなところで飛行機が止まったとき、嬉しそうな顔したよね。死を覚悟して着陸したのならその顔いらないよね? え?あんた助かりたかったの?って思っちゃうよね。 で、結局は崖が崩れ、彼は飛行機ごと落ちて死ぬ。 ヒロイックな行動を見せたいなら一度止まらずにそのまま落ちて死ぬ展開にすればいいのにそうしなかったのは、ギリギリ助かったと思わせてやっぱり死んだというドッキリ感(映像としてのハラハラ感)を出したかったとしか思えねえ。 ほんの数ショット内でのドッキリ感を優先したために、十数ショットにおよぶ彼のヒロイックな行動の動機がますます不明になったと思います。



ロシア人パイロットの恋人もいつのまにか溺死。途中から主人公たちとずっと一緒にいたのに、死ぬところはちゃんと描写されてないですよ? ネコを愛するやさしい人として死なせてあげたかったのか? 他の人の反応もないよ? 出したキャラクタはちゃんと最後まで責任もって描写しましょうねエメリッヒさん。



そもそもあの状況で、大統領は残ることを選ぶものでしょうかね。最後まで指揮を執るという責任は感じないのでしょうかね。 ま、エメリッヒさんが昔作った大統領自ら戦闘機に乗って出撃していくあのクソ映画よりはマシか。





なんてことを書き出すときりがないほど、突っ込みどころの多い映画でした。長い映画だったので後半はトイレに行きたくなってしまったんだけど、本当に行こうかなと思っちゃいましたよ。最後の箱舟のシーンで延々と続く安くさいヒューマンドラマ。そんなもの見ているよりすぐに排尿できた方がどれだけ幸福を感じられるだろうか。 などと考えてたら映画が終わってしまったんですがね。


エメリッヒさんは結局どうしたかったのか?
人間愛、家族愛、大自然を前にした科学技術の無力さやあきらめ、などなど表面的にはそんなキーワードが出てきそうな感じなんだけど、実際にはそのどれも描かれていない。全く描かれていない。見事に描かれていない。 嫉妬・愛憎・執着など心の動きの機微を描写するでもなく、人間の醜い心理を鋭く描いているわけでも全くない。表面的に実に安くさいヒューマニズムが流れているだけで、うすーい皮を一枚剥がすと中身は何もない。

どうしたかったのエメリッヒさん?

ド派手な VFX をやりたかっただけ?
であれば大成功ですよエメリッヒさん。

いやー VFX はそりゃもう、おなかいっぱいですよ。
壊せ壊せもっと壊せ。 沈め沈めもっと沈め。 燃えろ燃えろ燃え尽きろ。 破壊の限りを尽くしたかのようなディザスター描写は、そりゃもう燃えますよ。
火砕流と言うのかな、火山の爆発?の後に広がってくるモコモコ雲と飛行機のチェイスがカッコ良かったですね。よくある AfterBurn のようなスカトロボリュームレンダリング系の煙ですが、スケール感・量感が実に気持ちよく、そこをかいくぐるカメラの動きも気持ちよく。 地割れで崩落した地面の断崖絶壁、すげえ、こんな風景見たい、って思いましたよ。マットペインター大活躍なんじゃないですかね。 巨大輸送機もCGだよねえ? 水も、山も、箱舟の基地も? リアルはリアルですが、リアルかどうかよりもそのスケール感と物量に圧倒されるわけですね。どれだけのアーティストやエンジニアが泣きながら作業したんでしょうね。心から敬意を表します。

エンドロールでの VFX のクレジットは長かったですね。すごく多くのスタジオが参加していたように思えます。 とは言えこの規模と照らし合わせると少ないかな、とも思いましたけどね。 筆頭のスタジオはどこだっけ、忘れちゃった。 DDも当然のように入っていましたが筆頭ではなかったな。エフェクトアーティストの渡辺氏の名前もしっかりありました。流体野郎坂口氏の名前を見つけられなかったんだけど、見落としたのかな。きっと Fsim も使われていたのではなかろうかと想像してみる。

ただ、モニターCGっていうのかな、何かの状態を示している計器類とか、解析中のコンピュータ画面みたいな映像があるじゃないですか。アレが、実に安くさかったですね。意味なく3Dで視点がぐいーーんと動くようなやつとかね。実用性を考えるとあり得なさそうなんだよね。見た目の小奇麗さを優先している。ほとんどの映画やアニメのモニタCGはそんな感じですけどね。 ちなみにアイアンマンのモニタCGは超カッコ良かったですよ。雪風のもカッコ良かったと思う。


ま、2012 のVFX 関係はまだ調査不足ですね。今後 Cinefex なんかにも出てくるだろうし、Bluray や DVD の特典にも入るだろうし、来年の SIGGRAPH でも話題に上がりそうな気がするから、今後気にしておきましょうかね。


DVD 出たら買うかどうかは、悩みますね。
こんなクソ映画、VFX 以外のどこを見ろというのですか。
でも映像特典だけは見たいわけでね。
でもそのためだけに買うかなあ。もったいねえなあ。劇場ですでに金使っちゃってるわけだし。
レンタルDVDは特典ディスクとか無しの方が普通ですからねえ。
そうなるとやはり、誰かに買わせて借りるというのが一番正しいですね。


事前にあんだけ話題になっちゃったから、そしてそれを気にして見ていたものだから、観に行かないわけにもいかなくなっちゃった映画なわけですが、VFX に関しては期待通り満足、でも先にあれだけトレイラーなどを見ていると期待以上というほどにも思えないわけで、そうなると中身がクソな時点で総合的にはやはり期待以下の映画だったということになってしまいます。 ポールバーホーベンさんが作っていたら面白い映画になりそうだなあ。 すっげー偽善者が出てきてのうのうと生き残ったり、超悲惨な死に方したりしてね。 2012 にも偽善者はいっぱい出てきたけど、偽善を善として最後まで押し切っちゃった感じかしら。バーホーベンさんみたいに偽善者を偽善者として描かず、正義の味方として描いちゃうから、こんなに何も残らない映画になっちまったのではなかろうか。

ヘヴィに VFX を使っている映画のうち、本当に満足できる映画ってなぜか少ないですよね。CG とかに関わる身としては、残念なことだと思っています。VFX だけで引っ張れると思っているのかなあ。 ベンジャミンバトンはすごく良かったけどな。


っていうかエメリッヒさん、Day After Tomorrow はけっこう好きなんですよ俺。 今回は、大統領自ら戦闘機に乗って出撃していくあのクソ映画に次ぐくらいウンコじゃないですか。どうしたんですか。あ、紀元前1万年は見てないな。これもウンコなんですか。どうなんですか。あんまりウンコばっかりやってるともう同盟組んであげませんよ。伊太利亜と二人でやっちゃいますからね。





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コメント

自分もみてきました!映像すごかったですね!
USJあたりでアトラクションにしたら楽しいかも!
シナリオは…率直な感想
貧乏人しねえええええええ('д'!でした。
結局金なんですね。とほほ。
多分方舟に乗れない人間なんでこんなこと思ったんでしょうね。
個人的には方舟連中は全部死亡で、乗らなかった人たちがかろうじて
逃げた土地が隆起により津波から助かる、ラッキーぐらいが良かったです。

投稿: ちょちょ | 2009年12月 7日 (月) 01時31分

ユニバーサルスタジオもいいですが、FPS な PC ゲームになったらきっと俺は買いますよ。
昨今のゲームは光や空気の表現、水やら火やらの表現もすごく進化しているように見えますよね。背景要素もとてもリッチに見えます。 その技術を使って 2012 の世界を再現してくれないかと。崩れてくるビルをかいくぐったり、地割れを避けて運転したり、これ、インタラクティブにやりたいです。映画ほどでなくともいいから、超ド派手なダイナミクス&パーティクルで、ゲーム性なくてもいいから、フライトシム的に眺めるだけでもいいから、やってみたいなあなどと思ってみたり。

あなたゲーム屋でしょ。作ってください。

投稿: junki | 2009年12月 8日 (火) 17時34分

http://www.4gamer.net/games/087/G008701/20091109017/
コースにあるオブジェクトが崩れる中レースするゲームとか来年あたりでるみたいですよ
ゲームの方も少し前からオブジェクトの破壊を盛り込んだものがぼつぼつ出てる感じです
海外勢のはなしですけど

投稿: りんぷる | 2009年12月 9日 (水) 00時37分

面白そうですねえ。っていうかアフォですねえあっちのゲームは。


俺、昔のゲームを懐かしみながらやるのは結構好きなんですが、いまどきのは全然やったことないです。ちっと手ぇ出してみるかなあ。。。


トラックボールでミサイルコマンドやりたい。

投稿: junki | 2009年12月10日 (木) 00時35分

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