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2009年10月31日 (土)

映画メイキングセミナー。

ボンデジさんの映画メイキングセミナーに行って来たんですがね。

いやーまたもや VFX 漬けというか、腹いっぱいになりましたね。長丁場だったので、不覚にも途中眠くなる瞬間もあったのですが・・・。 でも色んなメイキングをたっぷり見れて実に楽しかったっす。



「築城せよ!」での城の倒壊は結局手付けアニメーションとのことでしたが、やはりそうなりますか。うん、それが一番いいですよね。

SIGGRAPH で、デジタルドメインが 「G.I.ジョー」のメイキングでエッフェル塔の倒壊をやっていましたが、こちらは自社ツールでプロシージャルに倒壊させたそうです。 たしか、全体のたわみの動きはクロスシミュレーションを使っていたと言ってた気がするんですよね。ひとつひとつの鉄骨に強度だか耐性だかをパラメータとして与えてやって、たわみがある程度まで達したら自動で折れる、というしくみだったと思います。日本人のお方が作ったシステムです。

DDくらい大規模なスタジオなら、あるいは作る映画がある程度以上の規模ならこんな開発もできるのでしょうが、築城せよ!の場合は予算も期間もなかったとのことなので、男一発ゴリ押し手付けで対応したのでしょうね。スヴァらしい。手付けが一番いいです。人間様の意思を100%反映させられるわけですから。

予算がなくてブルーバックがブルーシートになったというのは、笑えましたね。ブルーシートってのは、ドカシーと呼ばれることもありますが、建築現場などでよく使われているアレです。 ま、何もないよりはずっといいでしょうけどね。 笑えたけど、切ないですね。 
他の会社の講演でもそういう話はありましたが、ブルーバックにできない時は究極的には手マスクになるんですよね? いやあ、地道ですねえ。 長回しのショットで逆光髪の毛さらさらで森の中、とかそんなの、ぞっとしますね。 ま、昔の特撮なんかだとオプチカル合成のためのマスクを職人さんが1枚1枚作っていたそうですから、デジタルでトラベリングマット描けるだけ今は恵まれてますよね。
ちなみに手マスクとかトラッキングとかそういうのは、ハリウッドの大手のスタジオから小さいスタジオやフリーの人に外注されることも多いそうですよ。ハリウッドのスタジオに行きたい人はマスク切りを修行して、どうにかツテをたどってマスクの仕事を取り付け、それをきっかけにスタジオにもぐりこむという道はどうでしょうかね。


20世紀少年と GOEMON も、これまた VFX だらけというか、大規模な切り貼り大会というか。 この、色んな素材をうまーく重ねてひとつのものをデッチ上げる過程というのが、超楽しそうなんであります。まさにデッチ上げですね。ありとあらゆる所から素材をかき集めてフランケンシュタインのように縫い合わせているような、そんな感じ。

で、話の中でも出てきましたがどうしても綺麗にトラッキング(マッチムーブ)できない場合もありますよね。その他色んなバレもある。完成品は実は全く完璧ではない状態。 でも最終的にフィルムになった時に説得力があり、見ている方はおかしな所に気づかない、目が行かないようになっている。 その見極めこそが大事なんですよね。

どこをどう切っても完璧な状態の VFX を作れればそりゃいいでしょうけど、現実的には全然無理。 むしろ、たくさんの不具合をいかにバレないようにするかという方向でブラッシュアップしていくことの方が多いように思います。 この部分はこうさえしておけばバレない、ここは超ウソだけど目が行かないので大丈夫、その代わりこの部分だけは完璧にしておけ、ここにこそ時間を使え、ここのデキで引っ張ってしまえば小さい不具合は観客に意識されない、といった感じの、監督や VFX 監督が下す判断・見極めが最も重要で、それによって映像全体のデキが決まっていくのだと思うんです。 モデリングが、テクスチャが、ライティングが、コンポジットでの馴染みが・・・という個々も要素ももちろん大事だけど、それらを全部足してってもいい映像になるとは限らない。 全体的に見渡して何をどこまでやれば成立するのかを見極められる人、そういう才能豊かな人々にはほんと嫉妬します。 などと思いながら見てましたよ、ええ。


バラッドのメイキングもまた濃い内容で。 この会社はCG制作というだけでなく、ミニチュア造形とかもできるんですよね。 モーションコントロールカメラもあるそうだし、そういうの組み合わせて映像作るの、すげー楽しそうですよね。 前に仕事でそういうのの手伝いはしたことがありますが、実に楽しそうだった。 俺はほんの一部分に関わっただけなんですが、撮影に立ち会ってモーションコントロールカメラの動きやミニチュアを見ているだけでもなんだか興奮しましたよ。面白ぇなあって。  XSI に向かっているだけじゃ楽しくない。やっぱりモニタの前を離れて、ゴチャゴチャやりたいじゃないですか。 いいなあ、そういうことができるスタジオが羨ましいです。

VFX監督さんはしきりにマルチ感マルチ感って言ってましたよね。要は、カメラが動いた時に距離の違うものが画面上でズレていく効果のことを言っているんだと思います。 近くの山と遠くの山が画面上で同じに動くのは嫌だ、距離が違うんだから、実際に撮影した時のようにズレていかないと嫌だ、ということを言っていたのだと思いますたぶん。フィルム時代のアニメの撮影におけるマルチプレーンカメラのことですね。

でも、実写の世界や3DCGの世界でもそのことを「マルチ」って呼ぶんでしょうか? 普通に実写でカメラ動かして撮ったり、普通に3Dでカメラを動かせば、パースというものがある以上カメラから距離が違うものは当然画面上でズレるわけだから、いわば勝手にマルチ状態になるわけですね。 それをアニメの2D絵で擬似的に再現するためにマルチプレーンによる撮影が考案されたんだと思うんですよね。 なので、少なくともアニメ業界出身ではないと思われる VFX 監督さんがマルチというコトバを多用してるのが意外でね。 聞いている人も、アニメの撮影を知っている人ならすぐわかるだろうけど、そうじゃない限りマルチって言ってもわからないんじゃないのかなあ、なんて思いながら聞いてました。 (俺が意味を取り違えているわけじゃないよな・・・)  

ああ、最後に質問を受け付けてくれたのに、パッと思いつかなくて何も聞かなかったけど、これ聞けばよかったかな。 そちらでも「マルチ」って呼ぶんですか? って。
もしかしてこの会社だとミニチュアの撮影とかもやるから、コマ撮りとかそっちでマルチというコトバをよく使うのかな。

ともかくも、マルチ感にずいぶんとこだわったようです。板へのカメラマップのこともあれば、1つの物体の中でのマルチ感を大事にするためにちゃんと立体としてモデリングすることもある。 別撮り素材の切り貼りなんだけど3Dレイヤ的に構成してマルチ感を得る。みたいなことを仰ってたと思うんですよね。

それと、「実写合成やってて一番苦労するのは、実写素材が実写っぽくないときだ」と言っていたのが印象的でした。 なんだか見慣れないパース、異様に綺麗に撮れた空、珍しい地形のためにレイアウトとして目に馴染まない、そんな場合だと思うんですが、どんなに実写らしくなくても現実にその素材は実写=最もリアルな状態なんだから仕方ない。 こうなると VFX 側でどんなに頑張っても、どこかウソくさい絵になってしまいがちだという意味のことを仰ってたと思います。なるほどねえ。わかる気はします。 雲の写真を撮ったりすると、エッジ部分がフリンジのようになっている状態で撮れることがよくあります。なんだこの雲、合成に失敗した時の雲みたいだな、とかね。 なんじゃこの空のグラデーション、すっげー綺麗だけど綺麗過ぎてCGに見えるな、とかね。

ミニチュアと3DCGとペイント素材だか写真素材だかの切り貼りだけで成立したショットというものも紹介してくれて、面白かったですね。つまりそのショット用に撮った普通の実写素材はゼロというショット。まさにデッチ上げの極み。楽しそうだなー

などなど色んな話が聞けて実に面白かったのですが、ただどこの会社さんもショットごとの解説に終始していた感じはありますよね。もっとこう、全体的なワークフローの話とか、新しく試した手法やら技術の話なんかも聞きたかったんですけどね。

いやーそれにしても勉強になりました。 日本の VFX もなかなかいけるんじゃないんでしょうかね。 規模ではアメ公にかなわないにせよ、あの地道な、泥臭い VFX 作業は、いつか日本の強みにならないですかね。  俺もこういう仕事やってみたいなあ。そっち系の会社のお方、どうか俺を雇ってください。でもすいませんそっち方面のノウハウはほとんど持ってません。お茶くみ便所掃除から始めます。給料は年に900マソくらいでいいですから。





どうでもいい話ですが、今回も思ったのは、さすが有名プロダクション、そのプライドというか何というか・・・。  自分たちが普段から注目されているということを前提にしたような話し方というかね。 この映画はみんな観ているだろう、主人公の名前くらい知っているだろう、うちがその VFX を担当したことは知っているだろう、という感じが、ビミョーににじみ出ていると思うんですよね。 ちくしょう。なんだか悔しいですね。

イベントなどで他の会社の方と挨拶する機会もよくあるわけですが、大手のゲーム会社の人と話すと特にその傾向が強い気がしますね。 ゲームのタイトルを省略した呼び方で呼んでたり、有名ゲームの続編の開発時期とかの話を普通にしてくるわけですが、あいにく俺はゲーム機を持っていないのでよくわからず。 どの会社がどんなゲームを作っているかさえあまりわからず。でも向こうはこちらが全て知っていることを前提に話をしてくる。 「最近は2が終わったから○○チームの手伝いしてるんですよねー」 とか。 2ってなに? ○○チームって、おたくの社内のチームのこと? 有名会社だし、有名チームみたいだから名前は聞いたことはあるような気もするが、わたし社外の人間だし、よくわかりませんよ? みたいなね。  CGワールドとか雑誌にメイキング的な記事を出してるから、みんなそれ読んで知ってると思うのかな。 こっちはあいにくCGワールドも読まないのでよくわからず。

でも、正直それが鼻につくこともあるのは事実ですが、やっぱり俺もそっち側の人間になれるように頑張らないとな、いつかああいう言い方をしても許される立場にならないとな、これが鼻についているうちは俺も負け組みなんだな、と思ったわけですよ。注目されたいとは特に思わないけど、やっぱり褒めて欲しいですもんね。 へー あれはお前がやったのか、すげーなって褒めてもらうことが何よりもモチベーションになりますからね。


あ、そう言えば、少し前から話題になっていたようですが、ボンデジさんがCGワールドの会社を買収したという話、セミナーの後に発表してましたね。 あの雑誌はどうなるんでしょうかね。もうしばらく読んでないですが、あまり変わらないとしたら、ボンデジさんに行ったあとも読まないだろうなあ。でも情報収集のソースにはなりますかね。

ボンデジさんは How to 本みたいな書籍もいっぱい出していますが、なぜに今さら書籍なんでしょうかね。オンラインチュートリアルとか、ビデオチュートリアル的なものにするわけにはいかないんですかね。 本という媒体は置く場所も困るし、重いし、本見ながらモニタ見るのもつらいですよね。 特にボンデジさんから出ている本はでかいのばっかりだし。 まあ、こういう本はどのみち買わないのでいいんですがね。 若い頃は買ったりもしましたが、役に立ったためしがない気がする。 


ああ、まとまらないですね
いやまあ、徒然なるままに書いているのですがね。
ともかく映画メイキングセミナー面白かったですよ。



今日はこれ。

かこいー
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