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2009年1月14日 (水)

ピクサー。

ピクサーショートフィルム&ピクサーストーリーを買ったんですがね。

Psf

今までの短編全部と、ピクサーの歴史ドキュメンタリーという内容でした。 短編は見たことがないのも含まれており、網羅して見れるので良いです。


当たり前だけど、やっぱりピクサーには手描きアニメーションの血が濃く流れていると思いました。ラセターさんがそういう人だからね。 紙にラフ描いたりしてるし、モニタにペンで描きこんだりしてるし。 CGアニメーションを付けるときも、きっとポーズtoポーズなやり方をしてるんでしょうね。 マリオネットって言うんだっけ? ピクサーの独自のアニメーションソフトウェア、一度見てみたいですね。どういうしくみでやるんだろう。 それらしき画面が写っていると、なんだかアニメのタイムシートのような、昔の Macromedia Director のタイムラインのような、エクセルのスプレッドシートのような、そういう升目がよく出てきます。たぶんキーフレームの管理をする部分なんだろうな、と想像してみたり。


単純なループモーションとかではなく、比較的複雑なアニメーションを付けるとき、あなたどうやってやりますか。 Aのポーズをまず作り、しかるべきフレーム数を空けてBのポーズを作り、さらにしかるべきフレーム数を空けてCのポーズを作り、最後にそれらを上手くFカーブでつなぎますか。


海外のCGフォーラムなどを見ていても、圧倒的にこのやり方でやっている人が多いように見えるんですよね。ピクサーもきっとこのやり方が基本なんではないかな、という風に見えます。 そしてこのやり方は伝統的な手描きアニメーションの方法そのものなわけで。 俺もこのやり方でやってみようかな。。。。。


実は俺はできないんですこれが  Orz  ポーズ作って次のポーズ作って、ってやっていくと、俺の悪い癖で、重心への意識とかがどうしても希薄になっちゃうし、タイミングは取れないし、跳ね返りや揺り戻しなどの挙動が付けられなくてフニャフニャな動きになるし、最後の最後まで確信を持てないまま作業を進めるストレスにさらされ、なんとなく全尺できたところで Flipbook して見てみるとウンコができあがっていて秒殺でモニタを破壊します。


じゃあどうやるかと言うと、重心になる親オブジェクトのみでまずは最後までアニメーションを付けてしまいます。人間で言えば腰ですね。 腰の位置と回転のコントローラのみを動かすのです。 IK の足はスタート地点の地面に置き去りにされ、上半身はTポーズのまま案山子のような状態で硬直していますが、おかまいなしに進めます。腰だけに集中し、タイミングと移動量を決めてしまいます。

ここでほぼ良い状態まで追い込めば、それ以外のもの、つまり足や上半身は、半自動的に決まります。圧倒的にラクです。そのタイミングで、腰が要求してくる状態を作ればいいだけですから。 足の長さは決まってるんだから、腰の位置と回転が決まっていれば、どこに足を置けばいいかはほとんど自明です。どのタイミングで足を動かし始めるかも、腰が教えてくれます。 もちろん動きにも拠りますが、足が伸びきる直前だったり、ここで足を出して体を支えないと転んでしまう、というタイミングにすればいいわけです。 上半身も、腰の主に回転を参照し、動きの大きさとタイミングを決めます。

ただ、もちろん腰を動かしている間も脳内で上半身の動きを想像しながら作業しないと破綻しますけど。  それと、特に尺の長いショットだとさすがに腰だけでは後半分かりづらくなってきたりして、ある程度の節目まで行ったら足だけは付け始めたり、上半身の一部を動かしたりということはします。


ポーズをひとつずつ作るということは、全身ほぼ同じタイミングでキーフレームが打たれることになると思うんですが、それがどうしても受け入れられないんですよね。 キーは基本的に各パーツの動きのピーク部分にあるべきだと思うんですが(ツメ用キーフレーム=間合いを取るためのキーは除く)、全身のパーツが同じタイミングでピークがあるわけねえだろゴルァ という思いがどうしても抜けず、この方法を採ることができません。
一方上記の方法は、腰が決まったら、腰のキーのタイミングは参考にはしますが、腰と一致させるなどということはもちろんしません。各パーツが要求するピークのタイミングでキーを打っていきます。このタイミングが一致するとは限りませんし、むしろ一致してないことの方が多いです。
ひとつのオブジェクトの中でも、当然 XYZ のキーのタイミングは違います。 腰だけに集中すると言いましたが、更に細かく言うと、まずは腰の Yポジションにだけ集中し、それが決まったら X、次に Z、それが決まったら X ローテーションに集中、という風に、できる限り要素を分解して順番にやっつけます。同時に考えることは少ない方がいいのです。俺の脳味噌のキャパはそんなもんです。ええ、そんなもんですとも。

ついでに言えば、ビューポート上でオブジェクトを動かしてキーを打つ、ということも、最低限しかしません。 なるべくFカーブエディタ上で作業します。 次の位置に腰を持っていくとき、腰のコントローラをドラッグしてキーを打つのではなく、そのタイミングまでタイムラインを進めて、既存のFカーブにキーを挿入し、ビューポートのアップデートを注視しながらそのキーをFカーブのY方向に上下させて腰の位置を決めるということです。どうやら俺の場合、動きは全てFカーブの形でイメージするクセが付いてしまっているようです。 ビュー上でオブジェクトを動かした結果としてFカーブが存在する、ではなく、あるFカーブの形にするためにオブジェクトを動かす、という脳味噌になってしまっている気がします。 自分にはこの方法が一番合っている、らしい。


ただ、ポーズtoポーズの方法だと、正しくやっていれば、間のFカーブを調整する前にラフに全体の様子が見れるという利点があると思います。原画のみでプレビューするということですね。早い段階で人にプレゼンするのをラクにするという意味でも、この方法もできるようにならねえとなあと思っているのですが、長年上記の方法でやってきたので、どうしても気持ちがそっちに向きません。


と、ピクサーから大幅に話がそれましたが、ともかく、ピクサー作品のスヴァらしい動きのクオリティを見る限り、彼らがどんな方法・どんなアプローチ・どんな意識・どんな順番の考え方で動きを作っているのか、とてもとてもとても知りたいのです。知っている方、教えて下さい。


ところで奴らに日本のアニメのような、リミテッドでキレとハッタリとケレンのみで勝負するような動きを作らせたら、やはり上手いんでしょうか。これも大いに気になるところです。 彼らの得意なあのテイストのアンティシペーションやムービングホールドを封印し、極限まで単純化した状態でも、やっぱり上手いんでしょうか。

マトリクスは、毛唐が日本のリミテッドアニメーションの動きをどう捉えているのかを垣間見れた映画でした。あれは全然違います。あれはあれで良いと思うけど、全然違う。


ところでこのピクサーDVD、当たり前だけどCG屋やアニメータ向けのDVDではないので、うちらの技術的興味の尺度で言うと非常に軽い、非常に薄い内容です。もっと作業中の画面見せろ、アニメータのインタビュー聞かせろ、レンダリングシステムの解説しやがれ、パイプラインの概要くらい教えてくれてもいいでしょう、チェックのシステムはどんな感じなの、あのラッシュだけで全てやってるってこと? あのクオリティを全カットに渡ってキープできる理由はアニメータが全員優秀なのかスーパーバイザーだけが優秀なのか本当のところを俺にだけこっそり教えてくれ、給料いくらもらってんの? やっぱり時給なの? 社員の男女比率は? 若いの? 日本の作品のリメイク的なものなんてやる気ないですか? ないですよね? でも Imagi なんかにばっかやらせといていいの? 俺はよくないよ? どれくらい休みあるの? 各国人いるの? 日本人は? 市販のソフトウェアも使うのかどうか教えれ、1カット作るのにどれだけ時間かけてんのか白状しろ、ビールおごれ、などなど、ランダムに疑問と不満が続出しまくりでした。

でも短編をまとめて見れるし、ピクサーの歴史をざっと見ることもできるし、楽しい内容ではあります。あくまでも一般教養のためという意味ですが、買ってよかったDVDでありました。



「大塚康生の動かす喜び」 は良いDVDでした。アニメータなら見るべきです。

Ootsuka

また、「もののけ姫はこうして生まれた」も、同じ意味でアニメータとしての技術的興味を大いに満たしてくれたDVDです。

Mononoke

どちらも、アニメーションのチュートリアル的なものでは全くありませんが、「ああ、こいつらはこんな感じでモノを考えて動かしているんだな」という雰囲気が伝わってくるのです。そこが楽しいし、実際に参考になっている気がするのです。


うーむ、最近仕事が忙しいのを言い訳に映画とか作品を見るのをサボってるな・・・。まずいな・・・・。
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コメント

会社の近くに”PIXAR専門店”をうたっているオモチャ屋があしまして、ものすごく小さい店なうえに目立たない場所にあるせいかヒマそ~にしている店長が、ピクサーのミニ知識をちょこちょことお話してくれます。
CGの技術的な事ではなく、作品の裏話みたいなのが多いですが、映画公開時に特別に販売される冊子の情報とか詳しいです。
「Wally B.」というところです。

投稿: aki | 2009年1月14日 (水) 10時07分

ピクサー屋があるとですか。 ほう。
ってことでさっき WEB を見てみましたが、所狭しとアイテムがぎっしり詰まった空間を想像してたら、意外にもすっきり小奇麗な店ですね。

是非行ってみたいです。店長に質問の嵐をクラスタ弾のように浴びせてみようかしら。

投稿: junki | 2009年1月15日 (木) 13時30分

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